味覚と健康の関係は？

 味覚には「苦味」「酸味」「甘味」「塩味」「うま味」の5つの基本味があり口に入れてよいものと悪いものを判断する本能的な役割を持っています。「苦味」は「毒」のシグナルで「酸味」は「腐敗」のシグナルと言われています。なので動物は苦味や酸味のあるものは口に入れません。人間が苦味や酸味のある物を食べるようになったのは出生後の学習からです。

逆に甘味は糖、塩味はミネラル、うま味はアミノ酸のシグナルで動物も人間も積極的に口にします。味覚は出生時からすでに備わっていて成長に応じて変化します。

味覚は健康に深く関わる重要なサインです。味覚が正常な人は食欲良好で健康状態も快調。味覚障害のある人は食欲がなく体調不良を訴える人が多い。味覚障害で起こる食欲低下から低栄養に陥るという悪循環で特に高齢者では骨粗鬆症や骨折、褥瘡とも関連し要介護につながっていきます。また味覚は脳で感じる感覚で口腔状態や内臓の状態にも左右され、気分や感情・記憶・臭覚や視覚など多くの情報が統合された感覚で多岐にわたって影響・障害を受けます。

味覚障害は唾液分泌低下と密接に関連し、唾液分泌低下の原因は服用薬剤やその副作用の「口渇」にも原因があるようです。唾液の分泌は副交感神経で調節されているため自立神経に作用する血圧の薬、消化器の薬、安定剤、睡眠導入剤などは唾液分泌を障害してしまう事があります。

薬を飲まないで唾液を出す方法は？味刺激（味覚・唾液反射）で「酸味」と「うま味」を用いる訓練です。レモンや梅干し、酢の物などの酸味を利用して唾液を出す方法と、やや濃いめの昆布だしを口に含んで唾液を出す方法です。これらは自律神経を鍛える訓練で1日10回以上、目安は2週間で効果が表れ2-3か月続けると唾液が出るリズムと取り戻せるそうです。

昆布だしの作り方と方法： 

①   細かく刻みを入れた昆布30gを500mlの水に一晩浸す。 

②   口の渇きを感じたら1日10回程度昆布だしで口をすすぐ（飲んでもOK） 

③   2週間続けてみる