異所性石灰化-骨・ミネラル代謝異常って？

Yさん　73歳　女性　BMI26　糖尿病のお薬5種服用中。

先月肩の痛みで整形外科を受診され、「異所性石灰化症」と

診断され石灰を溶かすヒアルロン酸の注射をしたとの事でした。糖尿病もお持ちなので腎機能を診ましたクレアチン0.61　eGFR67%　尿アルブミン（-）と正常だったので腎臓からのものではありませんでした。

今日も引き続き腎臓から来る異所性石灰化-骨・ミネラル代謝異常という病気のお話しです。

 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常（CKDMBD）は代表的な合併症で、腎透析療法が必要となる以前の保存期から発症するようです。 CKDMBDは血管石灰化などの病態を介した生命予後に関連する全身疾患として見過ごす事ができません。

異所性石灰化とは文字通り本来石灰化していない部分が石灰化することで、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムの結晶が組織に沈着する現象。高リン血症、高カルシウム血症がその最も重要な原因です。特にCKD-MBDに関連する石灰化は、血管、心臓弁膜ならびに軟部組織の石灰化で、動脈硬化のリスク因子である高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などが原因です。

ビタミンDはカルシウムの吸収を促す働きをもっています。しかし腎臓の機能が低下するとビタミンDの働きが障害されるためカルシウムが食事によって体内に吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下します。尿中へのリンの排泄機能が低下するため血液中のリン濃度が上昇します。慢性腎臓病（CKD）の患者さんでは、カルシウムとリンの血中濃度の異常を調節しようとして、副甲状腺（ふくこうじょうせん）ホルモン（PTH）の量が増加します。PTHは、骨から血液中へとカルシウムを移動させる働きをもつため、PTHが増え続けると骨のカルシウムが減少し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。高カルシウム・高リン状態が持続して血液中で過剰になったカルシウム・リンが血管壁の石灰化を起こします。CKDでみられるカルシウム・リン・PTHの異常により引き起こされる病気を「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常（CKD-mineral and bone disorder：CKD-MBD）」といいます。

高リン・カルシウム食品：小魚類　しらす干し、かたくちイワシ　サクラエビ他　魚卵　米ぬか等。　腎臓はやっぱり大事です。