コレステロールとは？

コレステロールとはどんなもので、なぜ気にしなくてはいけないのでしょうか？

コレステロールはあぶら（脂質）の一種です。

脂質にもいろいろあって特にコレステロールは

全身の細胞膜やステロイドホルモン（男性、

女性、副腎皮質ホルモンなど）、胆汁酸という脂質の消化・吸収をになう物質の材料として重要な役割を担っていて私達の体になくてはならないものです。

体内のコレステロールは食べ物として口から入るものが30％程度で残りは他の栄養素をもとに肝臓で自ら合成され、血液を通して体中に運ばれています。

コレステロールといえば、LDLコレステロール（悪玉コレステロール）とHDLコレステロール（善玉コレステロール）が知られています。

LDL（悪玉）コレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身へ供給しています。

HDL（善玉）コレステロールは体中の余分なコレステロールを肝臓に戻す処理をします。

LDLとHDLは大切なコレステロールを全身にまんべんなく行き渡らせ体の一部分に滞ってしまうことがないように血管の中をくまなくめぐっています。

しかし、過去40年ほどの間に世界中で食料生産が安定し日常生活の中でコレステロールやその原料となる栄養素を豊富に摂取できるようになりました。さらに自動車やエレベーターといった産業の発展と普及から歩かなくてもいい生活様式が確立され、日本人の体格も良くなる一方で血中コレステロール量が有意に増加したと報告されています。

余分なLDLコレステロールが血管壁に溜まって動脈硬化を起こし、心臓や脳、腎臓、足などの全身の臓器で血液の流れを滞らせます。特に、脂質プラークという血管にたまったあぶら（脂）のこぶが破裂して、血液の固まり（血栓）が血流を途絶し、急性心筋梗塞という命に関わる病気をもたらします。

食事との関係においては、食べ物からコレステロールを減らせば血中のコレステロールを低下させることができます。この事実は多くの研究から報告され、食事のコレステロール量から血中のコレステロール値を算出する計算式もあります。

肉の脂身やバター、生クリームといった常温で固まる脂を飽和脂肪酸といい、これらの摂取量が増えると血中のコレステロール値を高めます。しかし、アジやイワシなどの魚に含まれる脂はマイナス効果を示しコレステロール値を低下させることが期待できます。

コレステロールを多く含む食品では「鶏卵」が有名です。所説ありますが、糖尿病患者さんに限った調査によると卵やコレステロールの摂取量が増えるほど動脈硬化や死亡のリスクが増加するという海外の研究結果もあります。コレステロール値が正常で健康な人はあえてコレステロールの制限をする必要はありませんが、「予防」という観点からは摂りすぎに注意したいものです。