糖尿病合併症①～網膜症～

糖尿病の3大合併症の１つで網膜症があります。網膜症は先進諸国における18歳～65歳の失明原因の第1位となっています。網膜は目の後ろにある薄い神経の膜でものを見るために重要でカメラに例えるとフィルムの役割を担っています。糖尿病の患者さんには半年～1年に1回は眼科で診察を受けるようにお伝えしています。

網膜には光の刺激を電気信号に変え色や形を認識する視細胞が敷き詰められ、細かい毛細血管が張り巡っています。高血糖状態が長く続くと毛細血管が傷つき、詰まり、血行不良になります。やがて網膜は酸欠状態となり弱くてもろい新しい血管を再生し酸素を補おうとしますがすぐにちぎれてしまい出血を起こします。その状態が進むと網膜剥離や緑内障を起こします。

糖尿病網膜症の分類：

・単純性網膜症

　小さな出血や毛細血管のこぶなどが

　できますが自覚症状はありません。

・増殖前網膜症

　   網膜の毛細血管が広い範囲でつまり酸欠や

      栄養が行きわたらなくなります。

      自覚症状が出る場合もあるが軽症です。

・増殖性網膜症

　再生血管が出てくる段階ですが血管がもろいため出血を起こしたり、膜を作って網膜剥離や緑内障になります。

・糖尿病黄斑症

　視力の低下が起こります。網膜の真ん中にある黄班部分の近くに水がたまりむくみを生じた状態。

眼科の領域では再生医療によってさまざまな研究がされているようです。ES細胞やiPS細胞を利用して今までできなかったことが可能となったり、治療方法が大きく変化し実用化に向けて医学が進んでいるようです。まだ実際に治療として患者さんに提供されるにはしばらく時間がいるようなので、まずは糖尿病のコントロールを良くし、食事・運動・生活習慣をより良くすることが合併症を起こさない第一の予防です。