腎臓で糖を作る

Oさん　68歳　男性　体重69kg　腹囲88㎝　BMI24　肥満傾向です。糖尿病で腎不全とそれに伴う貧血の合併症があります。クレアチニン4.02　eGFR13　透析準備のためシャント施術済み（透析用血管増設術）

重症な合併症をお持ちの方なんですが、まだ年齢が若いのでそこそこ元気に過ごしておられます。でもやっぱり自己管理は難しいようで薬の飲み忘れも多く、食生活も良いとは言えない感じです。

人間の体は糖を作り出すことができます。それを「糖新生」といいます。体内で飢餓状態（栄養不足）になった時、脳や神経に栄養を供給するために肝臓で蓄えたグリコーゲンや脂肪を分解して糖を作り出す機能があります。通常肝臓で90％、あと「腎臓」で作ります。通常腎臓では10％程ですが絶食時は40％にもなるようです。「腎不全になると糖尿病が良くなる」と言われているのは、この糖新生ができなくなり空腹時血糖が良くなること。もうひとつは、腎機能が落ちているためインスリンが腎臓から排泄されず血中濃度が高くなるので血糖値が下がります。

Oさんの本日の空腹時血糖104　ヘモグロビンA1c6.0、数字だけ見ていれば大変コントロールが良く見えます。でも忘れてはいけないのは、糖尿病の悪化から腎不全を合併してもうすぐ透析を始めると言う事。引き続き食事療法ではたんぱく制限、カリウム制限、糖質制限があり、運動はできません。