インスリンが効かない！

メタボや高血圧などあらゆる生活習慣病に関する危険因子として「インスリン抵抗性」があります。インスリンの効きを悪くする、抵抗勢力。

口から入った食べ物（糖質）は腸で吸収され肝臓に入り、グルコース（ブドウ糖）という小さな分子なります。そして血液中に放出され体中の血管内に流されます（血糖）。その時、膵臓からインスリンというホルモンが出て細胞内に取り込みます。

糖尿病とはそのインスリンの作用不足による高血糖状態が続く事です。その作用不足には２つの状態があり、1つはインスリン自体の分泌能力低下でインスリンが十分に出ない事。もう１つはインスリンが出ているのに血糖を取り込めない（血糖値が下がらない）、インスリンの効果が十分に発揮されない状態を「インスリン抵抗性」といいます。

 「インスリン抵抗性」の一番の原因は「肥満」です。特に内臓脂肪の蓄積による肥満は糖尿病やその他の病気に非常に危険です。肥大した内臓脂肪は様々な物質を血液中に分泌しています。TNF‐αやレジスチンと呼ばれる悪玉アディポサイトカインといい、インスリンの効きを悪くし、（インスリン抵抗性を高め）血糖値を上昇させます。また、動脈硬化を促進したり、高血圧を引き起こし、がんのリスクをも上昇させるという報告もあります。太るということは大変危険な事なんです。

肥大した内臓脂肪（インスリン抵抗性）があるためにインスリンの効きが悪くなる。すると膵臓はもっとたくさんインスリンを分泌しようとします。そこで高インスリン血症という状態に陥ります。

高インスリン血症になった時に引き起こされる危険な状態はたくさんありますがその代表例が高血圧です。交感神経系が刺激され末梢血管を収縮させ高血圧になります。そのような状態を繰り返し色んな合併症を併発しながらついにはインスリンが枯渇してしまい、糖尿病となっていきます。

インスリン抵抗性は環境因子とも言われ個人の努力で改善できる病態です。大切な膵臓を守り、いたわり、食事と運動を中心にインスリン抵抗性を減らし楽に血糖値を下げられる環境を作る事が大事です。