腸内をととのえる

腸内細菌はさまざまな病気と関係すると言われています。万病の原因のメタボリックシンドローム（内臓脂肪型肥満）にも深く関わっているようです。

人間の腸内には100兆個以上の細菌が生息しています。お互いに影響しながらそれぞれ集団を作って生息しています。その姿は植物が群生しているようにみえることから「腸内フローラ」とも呼ばれています。腸内細菌はヒトの消化管の中で小腸下部から大腸内にバランスを保ちながら多く住み着いています。そして日々の便とともに排泄されています。

腸内細菌に最も影響を与えるのは日々の食事内容です。日本人は昔から米を中心に低脂肪、高食物繊維の食事をしてきました。近年では肉を中心にした高脂肪、高たんぱく質の欧米の食事へと変化しています。伝統的な日本食を食べている人は欧米食を食べている人に比べて便の中のビフィズス菌や乳酸桿菌が多く、欧米食を食べている人の方は毒素を作る有害菌・ウェルシュ菌が多くみられるという報告もあります。

肉類などのたんぱく質は私達の身体に必要な栄養素ですが、有害菌はこのたんぱく質を分解して、アンモニアなどの腐敗物を作り出します。また脂っこい食事の動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれ、特にバターや牛脂、ラードなどの調理用油には多く腸内細菌のバランスを崩す原因になります。

腸内環境を整えるには日々の食事内容を考えることです。腸内細菌は食物繊維をエサとして有益な有機酸を作りますので食物繊維の摂取が何より重要です。1日20gの食物繊維の摂取が推奨され、野菜の量にすると1日350g。きくらげ、ひじき、大根、ごぼう等の食品に多く含まれ、玄米も有名です。

食物繊維には水溶性と不溶性に分けられ、水溶性食物繊維は食後血糖値の上昇を抑えるはたらきも期待でき、不溶性食物繊維はほとんど消化されないので腸を刺激して腸の運動を促し便秘の改善の期待できます。大事な事はバランスよくどちらも摂るということです。

スーパーで売っているヨーグルトにみる「プロバイオティクス」とは腸内フローラのバランスを改善し、人に有益な作用ををもたらす生きた微生物と定義され、乳酸菌やビフィズス菌があげられます。科学的に証明された特定の菌に限られているので特定保健用食品の表示がついた商品は、研究を通じて効果や安全性が確認されたものが使われています。買う時に確認しておくといいですね。